Association of Japanese Residents in Lao P.D.R.



2009年3月号目次

・日本人会副会長

・ブランコ贈呈式
・日本人会運動会「勝者の弁」

・3学期スタート
・新春餅つき大会
・小学生の部卒業式

初の直行便、成田から飛来!
ラオスの鉄道
ラオスの薬用植物?
サヤブリの象祭り
ラオスの不発弾の汚染状況
伝統スポーツの紹介 弓とコマ
日本人会ゴルフ愛好会

・ミタパープ会

・一年間ありがとうございました!

コ  ラ  ム

ラオスの不発弾の汚染状況


 最近、複数の日系企業の責任者から、ラオスの不発弾の汚染状況、及び処理の要領等について、相次いで質問を受けた。ラオスにも多くの地雷が残っているのか。ムアンクア(ポンサリー県)からディエンビエンフーに向かう国道4号線沿いの地域の不発弾や地雷の汚染は酷いのか。一般に言われているホーチミン・ルートからは遠く離れているシェンクワンに、何故あれほど大量の不発弾があるのか。不発弾による汚染が住民の貧困の直接の要因と耳にしたが本当か。不発弾を発見・処理するのに機械ではできないのかなど等、これらの質問はラオスの不発弾の汚染状況、及び不発弾の処理についてかなりの知識と関心をお持ちの方々であり、一般の人は、ほとんど知識も関心もお持ちではないだろう。しかし、ラオスに住んで居られる皆さんにはその実情の一端を少しでも知って欲しいと思っている。

 ラオスの不発弾の汚染は、一般の人々の想像をはるかに超える酷い状況であるといっても過言ではない。恐らく世界でも有数の不発弾汚染国の一つと考えて間違いない。出現する砲爆弾は、主として第二次インドシナ戦争(ベトナム戦争)時に使用された米国製、中国製、ロシア製などである。弾種は、大は2トン~250キログラムの大型爆弾から、小は各種クラスター爆弾や迫撃砲弾、小銃弾等様々であるが、古いものは第一次インドシナ戦争時のフランス製のものまで出現する。特に、使用禁止条約批准で国際的に話題になっているクラスター爆弾がラオス国内に大量に投下され、その不発弾が子ども達にも鋭い牙を剥いていて、未だに年間をとおして多くの犠牲者が発生している。

 ラオス国には不発弾処理機関として、約1,000人規模のUXOLaoが1996年から活動しているが、大量に残っていると判断される不発弾を処理する機関としては勢力的にも十分ではなく、かつ、これまで技術的・財政的問題などもあって、遅々として進んではいないのが実情である。例えば、JMASが支援しているシェンクワン県では、2008年末までの13年間に処理できた面積は、県全体の僅か0.2%程度に過ぎない。また、ラオス全土には約1000万発以上の不発弾があると推定しているが、これまでの処理ペースで推移すると仮定すれば、少なくとも200年~300年ではなくならないだろう。

 このような状況の中でJMASは日本のODA予算を使用してラオスの不発弾処理を支援しているが、いつまでも支援を続けることは困難であり、ラオス人のラオス人によるラオス人のための不発弾処理ができるようJMAS専門家の技術を早期に移譲したいと考えている。なお、JMASが支援を開始した2006年以降、シェンクワン県の犠牲者数が半減したのは特筆すべきこと考えている。
田  川(JMAS)