ロケットは大きいのは10mくらいの竹にくくり付けてあり、小さいのは10cmくらいで、手に持って点火して飛ばす簡単なものもある。今回の一番大きいのは火薬が1トンだといっていた。
発射台に載せられたロケットは、いかにまっすぐ高く飛ぶかでその技術が競われるらしい。まっすぐに上がっていくと観客は「ガーム!、ガーム(美しい)」といって手をたたく。フラフラしてはいけないのだが、なかなかそうは行かない。昨年、別の村で見たときは少し上昇して真横に角度を変え、私たちの頭の上を通過していった。発射されるときはよく見ていないとかなり危険である。
10分ほどの間隔を置いて、次々とロケットが発射される。ボリュームをいっぱいに上げて、音楽がかかり、ダンスも始まる。このお祭りは出店、ダンス、ロケットの打ち上げで成り立っている。とはいいながら、地元の人は自分の家でビールを飲んで音楽をかけ、庭で踊っている。ロケットは発射音を聞くだけだ。
さて、本日のメーン・イベントは、100万グラム、すなわち火薬1トンのロケットの発射である。発射時間を聞いてみると3時半頃だという。もちろんこれはラオス時間なので、実際は4時か5時だ。あいにく3時頃から雨が降り出し、1時間ほど中断した。雨の間は私たちもダンスに興じる。
ラオスでは楽しいことがあると必ずダンスが始まる。そして、今日のお祭りは無礼講なのだ。この祭りと、ボートレースは特別だというが、そんなことはない。私のところはビエンチャン・ハイスクールの中だが、少なくとも、「先生の日」、「こどもの日」、「中間試験が終わった日」、「夏休みが始まる前日」、「新学期が始まった日」 などは教職員で無礼講をやっている。
さて、雨がやんだ。しかし、5時になっても1トンロケットは発射されそうにない。なんでも、予定時刻があるのではなく、ほかのロケットを全部打ち上げてから、最後に打ち上げるらしい。この時刻になると見物人の数はかなり多くなり、数万人という感じだ。人口数千人の村が10倍に膨れ上がっている。
そして、ほぼ6時、1トンロケットが発射台に運ばれた。発射台にロープをかけて10人がかりで引き上げる。しかし、10人ほどで持ちあがるのだから1トンということはあり得ない。ラオス人には悪いが、彼らは計算が苦手だ。「多分、位取りを間違えていて、実際は100kgだろう」 と言うと、そうではないらしい。「100kg以上あるので端数を切り上げて、1トン」 だそうだ。なるほど、1トン級ということか。納得。
1トン級ロケットはさすがに発射台にセットするのに時間がかかる。30分ほどかかってやっと終わった。
係員が遠ざかって、点火! あがった!
ロケットは黄昏どきの空に向かってまっすぐ上っていく。と思いきや、大きく弧を描いて向きを変え、川の方へと落ちていった。「ボ・ガーム(美しくない)」という声と拍手でお祭りは終わった。
夜、ラオ・スター・チャンネルで、この模様を録画で放映していた。テレビの画面で再確認すると、本当にすごい人出だ。番組の最後は、やはり、1トン級ロケットで、墜落していくロケットに「ボ・ガーム・ノ(美しくないネ)」というコメントが付けられて番組は締めくくられた。
吉 田
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