Association of Japanese Residents in Lao P.D.R.



2010年3月号目次

・JICA前所長

・日本人会クリスマス
・日本人会運動会
・教科書文房具の寄贈

・新春餅つき大会

・ナムグム・ファンランド
・ラオスの病院・一週間の入院
・日本人会ゴルフ愛好会

・一年間ありがとうございました!

巻  頭  言

「伸びゆくラオスによせて」


 2年7ヵ月の任期を終え、思い出深いビエンチャンを離れることとなりました。日本人会の皆様には、家族を含めて公私にわたり本当にお世話になりました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

 滞在中、この国が発展していく姿を目にする機会が多くありました。南部のサラワン、セコン、アタプーなど「開発の三角地帯」と呼ばれる遅れた地域。小さな町で貧しくもゆったりと流れる時間がある一方で、アタプーからベトナム国境に向かって快適な舗装道路が整備されるなど”Land-linked Country” に向けて国を結ぶネットワークがこうした地域でもしっかり現れ始めていること。中部のナムテン2プロジェクト。国の地図を塗り替えるような大きさの水域が盆地に広がり、近代的な発電施設が国の財政を潤すべく操業を開始しています。そのほんの鼻の先の土地では、火を入れたばかりの畑地に陸稲を栽培する村人達。シェンクアンでは、農村の普段の生活のすぐ隣にボンビーと呼ばれる不発弾の脅威が存在していること。拡大メコン地域計画(GMS)の南北経済回廊として整備の進む北部ボケオ-ルアンナムタ間。その沿道で急速に拡大するゴム林の山々。これらは、それぞれの人々が経済や生活を良くしたいと願い努力を払った結果の総体の点描ともいえましょう。

 この国の開発のお手伝いをする役回りとして、近年のラオスの社会、経済の急速な発展を大変喜ばしく感じています。一方、経済的には貧しくとも私たちを暖かく包み込む優しさにあふれたラオスの人たちに囲まれて過ごす中で、「豊かさ」と「幸せ」との関係についても改めて考えさせられます。非才浅学の身は答えが見つからぬままにこの地を去りますが、今後、経済的な成長が進むことは確実なこの国の中で、指導者や一般の人々が自らの社会が持っている価値、伝統、魅力を改めて認識しこれを大切に保持しながら、バランスの取れた、素晴らしい社会、経済の発展を実現していくことを心より願っております。

 愛すべきラオスにおける会員の皆様のご健康とご活躍をお祈り申し上げます。
JICA前所長 高 島