特に,本年3月に日ラオス外交関係樹立55周年を記念して実施されたチュンマリー国家主席の訪日は,二国間関係史上初めてのラオス国家主席による公式訪日であり,その際に発出された日ラオス共同声明「恒久的な友好関係と地域の繁栄に向けた包括的パートナーシップの強化」では,両国関係の今後を展望すると共に,広範な交流・協力の促進,経済関係の強化,地域の平和と安定,地域開発協力,国際場裡におけるパートナーシップの強化等が謳われており,今後の両国関係を規定する歴史的意義を持つものであったと評価しております。
また,本年は,日ラオス外交関係樹立55周年にあたる年でありますが,同時に,ビエンチャン遷都450周年という節目の年でもあります。関連の記念行事等が活発に実施されています。これらの行事を通じて,両国間において,政治,経済,社会,文化等の多面的な交流が一層促進され,友好・協力関係が益々発展するものと期待しております。
現在,世界的に金融経済危機に見舞われておりますが,ラオスでは,2008/2009年度に7.6%の経済成長率を達成し,2009/10年度も7.8%程度の成長率が見込まれています。今後とも着実に経済発展し,2020年までの後発途上国からの脱却の実現が期待されるところです。日本政府としては,ラオスの経済発展に向けた取り組みにおいて,引き続き,様々なプロジェクトを通じて支援して参る所存です。
ラオスにおいては,在留邦人数及び進出日系企業数が年々増加傾向にあり,現在,ラオスには546名の邦人の方々が在留し,65社の日系企業が進出しています。今後とも,日本からラオスへの投資が増え,更に在留邦人及び進出日系企業の数が増えるものと見込まれます。一方で,ラオスの経済発展に伴う貧富の差の拡大や治安の悪化,それに在留邦人数の増加に伴い,最近,邦人の方が被害者となる事件・事故も増えています。特に,ラオスではひったくり事件が多発している他,最近では,これまでに見られなかったけん銃等の凶器を使用した凶悪犯罪も発生しています。また,交通量の増加によって,交通事故件数も増加しています。更に,新型インフルエンザを始めとする感染症の脅威も益々高まっております。こうした中,大使館が在留邦人の皆様に対して果たす役割が益々重要になっていると認識しております。引き続き,在留邦人の皆様の安全の確保を最優先課題の一つとして取り組んでいく所存です。
日本人会では,毎年,会員の皆様の親睦や社会貢献等を目的とした各種行事が活発に行われていると承知しています。当館としては,今後とも日本人会の活動を積極的に支援しながら,日本人社会の発展のために微力を尽くす所存ですので,宜しくお願いいたします。
在ラオス日本国大使
横 田
|