ラオスのレストランでは、日本食屋さんにしても、イタリアンレストランにしても配膳係りはラオス人なので、ここもラオス人のウェイトレスが居て、厨房で北朝鮮人が調理しているのだろうなと想像しながら店の扉を開けた。北朝鮮レストランの扉は意外と頑丈なつくりだった。
目の前には、民族衣装の生北朝鮮人のお姉さんが、「アンニョン ハセヨ~」と出迎えてくれた。僕にとって人生初めての北朝鮮人との出会いだった。
意外にも店内は広く、2階もあるようだった。ステージも用意されており、カラオケを楽しめる設計となっていた。今後、お友達がラオスに遊びに来た時に使えるかなと考えながら。取合えず、一人なので出口に一番近いところの席を選んで席に着いた。先ほど、扉を開けてくれた北朝鮮のお姉さんが、喜色満面の笑みでメニューを持ってきた。彼女はラオス語が話せるらしく、ラオス語でお勧め品を教えてくれた。僕はビール、焼肉、野菜、キムチを注文した。
やっと気持ちも落着き、友達に電話を掛け現状を説明しながら笑って電話をきった途端、厨房の奥から出てきた、金正日!!!いや彼の弟??痩せているが、顔つきはそっくり。感情が欠落したかのような無表情でこっちに接近してくる! 日本人ということに気付いたのか??もう駄目か。
ガタガタ、ブルブル。え~とえーと 注文したのは、え~と、えーと。ビール、焼肉、野菜、キムチ、キムチは注文したが『キムジョンウィル』は注文してない…。何故こっちに来る。ギリギリと音を立てて椅子が動いた、でもそれは、僕のテーブルではなく隣テーブルの椅子であった。
全てが興奮と緊張の北朝鮮レストラン、何が出てきて、何が行われるのか?
そんな中、料理が運ばれてやってきた。
超高級食器を使用、思えばカーテン、テーブル、椅子、全てが超高級。一口摘まんでパクパク、美味い。かなり美味い。緊張が解れて、パクパクと…。その途端急に電気が消えた。
ステージを見ればそこはディスコ?クラブ??ステージは美しくライトアップされていた、でもステージには来店客は誰もいない。ステージの横の大きなモニターには「AKIRA」の文字が出ている。(ここで、僕の出番?)でもそれは、単なるDVDデッキの待受け画面。(AKIRAというメーカーがあるらしい)
音楽が流れはじめ、誰が出てくるのかと思えば、さっきまで食事を運んでくれていたウェイトレスのお姉さん達が歌い始めた。タイだとタイ舞踊を見ながら食事はあるけど、ウェイトレスは別にいる。ここは北朝鮮レストラン。ただの配膳係と思いきや、歌謡曲までご披露してくれるとは!!お姉さん達が次々に登場、テレサテンの「時の流れに身をまかせ」北朝鮮バージョンも流れ、さらにギターやドラムを叩いての生バンドまでも。まさにお祭り状態。それは約40分ほど続いた。
ショーも終わり、お勘定をした。ハングル文字の請求書のなかには金額は120000キップ。(約12ドル)まぁ、そんなもんだろうと僕。KIPを持ち合わせて居なかったので、タイバーツにてお支払い出来るか確認すると、お姉さんはOKと。
THB1,000(約27ドル)を渡した。暫くすると、お釣りを頂いた。が、何だかおつりが足りず・・。レストランを後にした。
川 村(TAK)
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