Association of Japanese Residents in Lao P.D.R.



2011年3月号目次

・JICA事務所長

・1年を振り返って

・デング熱に注意してください

・ラオス雑感

・街づくり
・武道センター運営を通じて武道の振興を支援
・日本とラオスの学生の違い
・ラオス電力公社にて


巻  頭  言

 2003年10月、当時ベトナムに駐在しており、出張でラオスを訪問していた私は、その日の仕事を終えて、メコン川のほとりで同僚とビアラオを飲んでいました。メコン川の流れを見ながら、同僚に「次に海外勤務の機会があれば、ラオスが良い」と語っていたことを今でも覚えています。ベトナムのように、日本と似た発展を遂げることのできる国は素晴らしいと思う反面、私にはラオスの人の優しさやゆっくりとしたリズムがとても心地良く感じられたからです。

 その後約6年半の時が移ろい、2010年2月私は幸運なことにラオスに赴任することになりました。赴任してから1年が経過しましたが、私自身が余裕のない生活を送っている中で、ラオスの人たちは人生を楽しむ術を知っているように思います。「豊かさ」とは何か、ということをいつも考えさせられます。ラオスの開発のお手伝いをするのが私の組織の仕事ですが、私自身が非常に多くのことを学んでいるように感じています。いつまでもラオスは、ラオスの良さを失うことなくラオスらしい発展を遂げて欲しいと願っているところです。

 他方、一見平和な様相を呈しているラオスですが、いまだに処理をされていない不発弾、脆弱な社会保障制度、公務員制度の問題、道路・病院などの経済・社会インフラの未整備など、多くの問題を抱えているのも事実です。内陸国であるというハンディキャップを負うラオスが何らかの発展を遂げるには、近隣国のみならず日本も含めた他の国とうまく付き合っていく必要があります。日本の国内は経済状況が芳しくありませんが、日本は国際社会の一員として、ラオスとともに発展することができるようなwin-winの関係を模索すべき時期を迎えていると考えています。援助のための援助ではなく、援助を通じてラオスと日本がともに活性化するような援助を実施していきたいと改めて自分自身に言い聞かせているところです。

 幸いにも、メコン川のほとりで同僚に話したラオスへの思いは今も変わることがありません。買い物で、おつりの計算が得意ではないラオスの人に遭遇したり、歩道を走るバイクに驚いたりする確率は高いですが、そうしたことに対して少しだけ我慢することができれば、ラオスは素晴らしい国だと思います。
 これまでは単身赴任のため、あまり日本人会の皆様とお付き合いする機会がありませんでしたが、3月中旬に家族(家内、3歳8カ月、8カ月)を呼び寄せる予定ですので、これからは家族ともどもお付き合いをさせていただければ幸いです。

JICA事務所長
戸  川