Association of Japanese Residents in Lao P.D.R.



2011年3月号目次

・JICA事務所長

・1年を振り返って

・デング熱に注意してください

・ラオス雑感

・街づくり
・武道センター運営を通じて武道の振興を支援
・日本とラオスの学生の違い
・ラオス電力公社にて


ボランティア活動現場の声

<街づくり>


 「街づくり」という職種で、ラオス国立大学建築学部がJICAシニアボランティアを要請したのは、日本に留学したことのある教員の発想らしい。建築学部が大学院修士課程を創設する際に、3人の若手教員を選んで大阪大学大学院に送り修士号・博士学位を取得させた。彼らの滞日期間は、6年あまりに及んだ。その間、日本には「街づくり」という行政と市民の運動があるらしいということで関心を持つようになったのだという。

 で、やってきたJICAボランティアでした。大学の教室で日本の「街づくり」の事例を紹介すると、大学生や講師たちは、「日本は日本、ラオスはラオス」という発想で、「日本の経験をラオスに生かす」というふうには話が前には進みません。「参加型開発」には関心の深い大学生たちも、いざラオスでの実践となると「住民が無知だから」「行政がダメだから」とか他人に責任をなすりつける議論ばかり。「自分(たち)はどうしたい」という話がでてきません。ラオスの街づくりは、この先だいぶ年数がかかりそうです。

JICAシニア海外ボランティア 島 本


<武道センター運営を通じて武道の振興を支援>


 ラオスに武道センターが完成したのは、2009年秋のこと。東南アジア競技大会(SEA GAME)のラオス開催にあたり、ビエンチャンに適当な武道の試合場がなく、日本政府の無償資金協力によって武道センターが建設されました。

 2009年12月に行われたSEA GAMEでは、柔道と空手の試合会場となり、選手・観客にとって快適に武道センターを使用することができました。また、ラオス選手はこれまでにない優秀な成績を収め、大いに国家の威信を示すことに貢献できたと思います。


全ラオス柔道大会審判員として参加(中央筆者)。
ラオス選手と(武道センターにて)

 SEA GAMEを終えた2010年3月に私は派遣されましたが、初めて見た武道センターは、それは立派なもので、日本のものと見劣りすることなく整備されたものに映りました。中学生のころより柔道に親しみ、選手・指導者として30年以上も柔道に関わってきて、多くの武道センターを訪れる機会がありますが、その中でもこの武道センターは素晴らしい建物です。私は、日本の武道振興を第1目標に、どのようにすればこの武道センターが有効利用され、武道振興に繋がるのかをいつも考えて活動しています。

 当初3武道の振興(合気道・柔道・空手道)ということでしたが、剣道・テコンドーも使用するようになり、5武道の振興を目標にしています。具体的な活動は、各団体との時間調整や使用備品の維持管理依頼・武道センタースタッフの指導、財政管理などの実務的なことから、各種武道団体との渉外的な部分まで、多岐にわたっています。武道振興と共に大切なことは、武道センター自体が原資を蓄えて自立して長期的に維持管理ができるようになることです。この点でも2010年後半より、各種の試合やイベントの予約が入り、使用料の増収が見込めるようになり、運営の基盤が確立されつつあります。数年後には改修・改善個所も予想して、原資の獲得は避けて通れない問題でもあります。

 今後、この武道センターがラオスの武道の中心になるばかりでなく、東南アジアの武道の中心になることを期待しています。同時に武道を通じ、青少年育成や幼少期の礼儀やしつけの一環としての足がかりになれば、こんなにうれしいことはありません。

JICAシニア海外ボランティア 橋 本
国家スポーツ委員会武道館運営


<日本とラオスの学生の違い>


 平成21年9月末よりJICAのシニアボランティアとしてラオス大学工学部(ソッパルアンキャンバス)の中に有るラオ・ジャパン・テクニカル・トレーニング・センター(LJTTC)で電子機器の指導をしている近藤と申します。もうラオスに来て一年が過ぎました。日本と同じ様なところ、まったく違うところなどを楽しんで生活しておりますが、私の感じた、ラオスの学生と日本の学生の違いを少し書いてみます。


ロボット大会出陣

 感覚としてラオスの大学生(私の居る工学部に限ってですが)は日本の高校生みたいな感じがします。

 例えば、すれていなくて皆まじめな様に見えますし、制服(男性は学校のマークの入った白のシャツ、女性は白のシャツにシン。月、金は青いシャツも良いようだ)を着ていないと授業には出られません。日本の大学生と同じ様なところは、授業の始業時間に全員集まりませんし、日本の学生も実習の授業は開始時間には集まりますが、ラオスの学生は授業内容には関係無い様です。授業中も携帯電話は鳴るが、日本と違い、授業中も気にしなく携帯電話で話しています。

 学校の先生の権威は、「先生の日」と言う日もあるように、学生にとっては日本より高いように見えますが、社会的な権威はどの程度なのか、私にはまだ分からない状況です。

JICAシニア海外ボランティア 近 藤
ラオス国立大学工学部


<ラオス電力公社にて>


 私は2009年9月末からJICAシニア・ボランティアとしてビエンチャンに滞在し、現在は2年任期の折り返し点を過ぎて後半の活動を続けている。配属先は国営ラオス電力公社(EDL)の訓練センターで、主として水力発電分野の現場技術者教育を支援する業務に取り組んでいる。

 最近退任したブアソン・ブパワン前首相が一昨年日本でも発言したように、ラオス政府は豊富な水力発電資源を外資依存のIPPとして矢継ぎ早に開発し、発生電力を隣国に輸出する東南アジアのバッテリー化戦略を掲げているが、その弊害も見え隠れする。

 しかも、2010年末から2011年初にかけて発電部門を事業分離して、新設証券取引所に子会社(EDL Generation)の株式の25%を初上場することにより得た資金を、新規電力設備に投資するという一部民営化に取り組み始めた。

 このような電力セクターの急速な体制改革を進めるためには官民の人材不足は明かで、国民が求める停電のない電力供給システムの形成がなおざりにされている。水力発電や送配電の分野でも現場技術の近代化を進めるための人材育成は遅々として進まず、野心的な計画と貧弱な現実との乖離をどう解決するかが政府とEDLの大きな課題である。

JICAシニア海外ボランティア 布 施
ラオス電力公社