曹洞宗、臨済宗と並ぶ日本三大禅宗の一つ黄檗宗の大本山は、普茶料理で有名な宇治の万福寺で、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、その境内の宝蔵院の収蔵庫には江戸前期の黄檗宗の僧「鉄眼禅師」が覆刻した「一切大蔵経」の版刻(縦26cm横 82cm厚さ1,8cm、材は全て硬い吉野桜)約6万枚(約7000巻)が収められています。
過日、版刻の表裏にそれぞれ400字、現在、活字として使用されている明朝書体で経文が彫られているのを見る機会がありました。寺僧の説明によると版刻は今でも使用されており、全巻を刷り上げるのには10人で優に10ヶ月はかかるとのことでした。それだけ膨大な版刻を300年以上も前の時代に、13年の歳月をかけて一人の僧が成し遂げたと言う話を聞いて、上杉鷹山の「為せば成る 為さねばならぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」の言葉を思い出しました。52年の短い生涯で、一人の人間が一念発起し、それほどの事業を成就して後世に残した事実を目の当たりにした時、人間の能力の偉大さと無限の可能性を再認識させられたことでした。要は気持ちの問題だと。
同じ村出身の先達、鉄眼和尚にあやかって、元旦に立てた「一年の計」のうち、半ば諦めかけている目標を、未だ6ヶ月もあると前向きに考え、これからの日々を能動的に過ごしたいものと思っています。
日本人会の皆様におかれましても更に充実した日々を過ごされますよう念じて止みません。
2008年度 ラオス国日本人会会長
田 川
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